祖母の代から続く旧屋を再生した四畳半の離れ。市中の山居のたたずまいとしました。

江戸の香りをとどめる
古い住宅。
家屋と庭が渾然と佇む。

施主は祖母・母と受け継がれ来た、明治から残る旧屋の一部を再生して四畳半の離れを建てられた。オーナーのご意思により、もともと敷地内にあった材料をふんだんに使用している。今では使われなくなった富士山の溶岩や、建物の土台の石も効果的に配置した。
明治期に建てられた家なので、もともとは江戸様式の庭であったろう。しかし庭もはやり現代に合わせるべきであるので、懐古趣味に走らない庭作りをさせていただいた。
垣根は普通では考えられないところにつくられているが、この演出によって、入り口からアプローチを進むにつれて四畳半の離れが徐々に強調されるようになっている。
市中にありながらも山居のような佇まいを感じていただけるであろう。

限られたスペースながら、豊かな自然が息づいています。

襖を開け放つと内と外が渾然一体と。

使用材料および演出物
【樹木】吉野杉、赤松、藤、茶、柿、モミジ、梅
【演出物】矢竹、竹樋、渡り縁、睡蓮鉢、灯籠、蹲踞

「庭」186号掲載写真 撮影者:信原修 発行元:(株)建築資料研究社 編集者:(有)龍居庭園研究所