四季の変化を楽しめる
二つの住宅を結ぶ中庭。

二つの住宅に挟まれた中庭。

施主ご夫婦が事務所にはじめていらしたとき、開口一番に「この石いいね」といわれたのが京都の古い葛石(かずらいし)や韓国の古い御影石であった。最近、このような造園材料を見る目をもった人が少ない中、施主の美意識を感じた最初である。
敷地を見てみると、駐車スペースとしての中庭をどのようにまとめるかがもっとも重要であり、車がなくても充分に観賞価値のある中庭にしたいと思い、古い葛石や御影石を多用して野面の丹波石で石畳とした。全体を深山幽谷の中に生活感のないシャープな建築がある景色を表現するため、針葉樹として世界でもっとも大きく伸びる木として知られる、センペルセコイヤ(常緑のメタセコイヤ)を多く植栽し、雑木類をあしらい、春の芽ぶき、夏の木もれ日、秋の紅葉、冬の木立と四季の変化が楽しめるようにしたつもりである。ただし、木の成長を自由にコントロールするためには年に2回の手入れはどうしても必要となる。また、景の中心には本御影の一文字型水鉢を使用した。社寺などで縁先手水鉢として使われているのをよく見かけるが、現代風にモダンに使ったつもりである。デッキテラスで気の合う知人友人と四季を楽しむときなど、水鉢にワインやフルーツを浮かべ、冷やして楽しめると思う。
地階ドライエリアの坪庭は、風を感じてもらうためハランを植え込んだが、大きな植物はまったく入れていない。1階の雑木の、春の新芽が木陰を落とし、秋には紅葉した葉が落ちてくる。そこに何かを感じていただければ幸いである。
庭本来の完成は、樹木が成長し生い茂る3年後からであり、常に時間を想定し施工している。

リビングからも四季折々の木々の様子を楽しめます。

石畳は古い葛石や御影石を多用した野面の丹波石。

使用材料および演出物
【樹木】センペルセコイヤ、コナラ、アオダモ、ハイノキ、ヤマモミジ、ヤマコウバシ、コハウチワカエデ、ヤダケ、ツリバナ、ヒサカキ、ハマヒサカキ、ソロ、ツバキ、ヒノキ、ザイフリボク、アオハダ、サワラ
【演出物】御影石、丹波、一文字水鉢

平面図

当ページ写真・平面図「新建築 住宅特集」第261号掲載